前立腺がんとは
50歳以上の男性に好発し、もともとは欧米人に多いがんであったが、近年は国内でも増加傾向にあるがんの一つです。
早期には無症状であることがおおいですが、「PSA」という血液検査の結果や、排尿の違和感・残尿感や血尿などによって明らかになることが多いです。
前立腺の細胞の一部を採取する「前立腺生検」によって、進行度判断・治療方針検討を行います。骨に転移をしやすい傾向にあるため、骨転移を調べる検査を行うこともあります。
[ 限局性がん ]

限局性がんとは、前立腺内に限局するがんであり、手術・放射線療法によって効果を期待しやすいがんです。
放射線療法では前立腺内に放射線源を留置する小線源療法という治療方法を用いることもあります。
[ 非限局性がん ]

前立腺がんでの非局限性がんは、被膜を超え、精巣や付近の筋組織・骨組織などへ浸潤している状態です。
遠隔・リンパ節転移が見られた場合には、ホルモン療法や化学療法の適応となる場合もあります。
前立腺がんの3大標準治療
がんの3大標準治療は、手術、抗がん剤、放射線治療です。
標準治療とは、臨床試験の結果をもとに、専門家の間で合意を得られている治療法です。
前立腺がんでは「ホルモン療法」や、低リスクの場合では「監視療法」、つまり経過観察し過剰な治療を行わない場合もあります。
ホルモン療法では高齢者等にも用いやすいのが特徴ですが、使用して数年で効果が低減してきてしまう場合があります。

外科療法(手術)
一般的にがん細胞が前立腺に限局しており、ある程度のリスクがある・体力が十分にあるなどの条件を満たした場合には、外科療法が選択され、前立腺全摘出術が検討されます。手術方法には開腹・腹腔鏡下・ロボット支援腹腔鏡下などがあります。

放射線療法
がん細胞が前立腺に限局している場合では、手術療法と同様の結果が期待できる治療として放射線療法も選択されます。
前立腺外への浸潤が見られている場合では、骨盤内照射といって骨盤周辺へ全体的に放射線を照射する治療方法が検討される場合もあります。

化学療法(抗がん剤)
薬物療法の中でも「ホルモン療法」という、前立腺がんの細胞が発育に必要な物質(アンドロゲン)を阻む治療方法が選択されます。
しかし副作用が発生する可能性や、先の「去勢抵抗性前立腺がん」というホルモン製剤に耐性が出てくる場合があります。
そして、前立腺がんの第4の治療法と言われる免疫療法


現在、がんに対する治療技術は目覚ましく向上しています。
しかし、手術・抗がん剤・放射線治療といった標準治療だけでは、期待する効果が得られないこともあります。
こうした状況の中で、新たな選択肢として注目を集めているのが「免疫療法」です。
がん細胞は健康な人でも1日に約5,000個生まれていますが、細菌やウイルスなどの外敵を排除する免疫細胞によって排除されています。
「免疫療法」は免疫細胞を採血により取り出し、培養・強化して再び投与することで、自己の免疫力によりがん細胞を攻撃する治療法です。
がんの勢いを抑える標準治療と組み合わせることで、治療効果の向上が期待できると言われています。